ととのい度 ★★★★★
レア度 ★★★★★
再現度 ★★★☆☆
お手軽度 ★★☆☆☆
ホルモン セロトニン(日光浴) オキシトシン(砂浴) ベータエンドルフィン(波の音)
今から約3年前。
ふとしたきっかけで潮干狩りに行くことになりました。
子どもの頃に親に連れて行ってもらって以来なので、おそらく40年ぶり。
「潮干狩り」という言葉だけで懐かしさがこみ上げてくるほど、長い年月が経っていました。
海で泳ぐこともめったにない私にとって、浜辺で数時間も過ごすのは本当に久しぶりです。
到着した瞬間、海風の匂い、波の音、砂の感触が一気に記憶を刺激し、まるで時間が逆戻りしたかのような錯覚さえありました。
その頃、X界隈でちょうど話題になっていたのが【砂浴】。
「海の砂に埋まってデトックスする」という、何とも不思議でロマンのある健康法。
せっかく海に来たのだから一度やってみよう——そう思い立ったのです。
■ 6月:初めての砂浴は、狩りに夢中で10分だけ
最初の6月の潮干狩りでは、貝を見つけることに夢中になりすぎて、砂浴のことをすっかり忘れていました。
「そういえば砂浴!」と思い出したころには帰る時間が迫っており、慌てて10分だけ砂に横たわることに。
わずか10分でも、砂に体が包まれる感覚は新鮮でした。
ひんやりとした砂の重みがじんわりと胸の上に乗り、身体の表面温度が静かに落ち着いていく感じ。
初めての体験だったので、正直よく分からないまま終わってしまいましたが、「これはもっと本格的に試してみたい」という気持ちが芽生えました。
■ 7月:ビーチパラソルを持参し、本格的に挑んだ3時間の海砂浴
そして翌月。
二度目の潮干狩りでは、ついに“本気の砂浴セット”としてビーチパラソルを持参。
7月の日差しは強烈ですから、直射日光を避けるための必需品です。
今度こそ、と気合いを入れて砂浴をスタート。
気温は32℃くらいだったと思いますが、自分がすっぽり埋まるくらいに人型に砂を掘って入ってみると冷んやりとして気持ちいい!
とはいえ初めてなので、心理的な不安も相まってそこまで長く埋まっていられるわけではありません。
砂浴 → 海水浴 → 砂浴 → 海水浴
このサイクルをゆっくり、合計3回ほど繰り返しました。
砂に埋まってしばらくすると、腕のあたりに“ピリッ”とした刺激が走り、思わず腕を砂から出して確認したほどです。
噛まれたわけでも傷ついたわけでもなく、どうやら砂浴中によく起こる反応らしく、その小さな電気のような感覚がデトックスなのか、血行に関係するものかはよくわかりません。
■ ビーチの音を子守唄に、砂に埋まって寝落ちする
しばらくすると、目の前の波音と、遠くで海ではしゃぐ人たちの声が心地よいBGMになっていきました。
気がつけば、2時間ほど“砂の中で眠っていた”ようです。
砂に包まれ、風に撫でられ、海の音に揺られる……。
非日常というより、なんだか“胎内に戻ったような安心感”がありました。
途中、水分もしっかり補給しながら、海水浴・砂浴・日光浴の三つをバランスよく楽しむことができました。
砂に入っていた時間は合計で3時間ほど。
海に腰まで浸かり、揺られていたのが合計2時間ほど。
午前10時頃から夕方6時くらいまで浜辺に滞在していました。
■ 終わった後に襲ってくる、不思議で心地よい疲労感
砂浴の効果としては常在菌の補充という事があるようです。
現代人は抗菌、除菌、体の洗いすぎなどで、皮膚に付着する常在菌が減っているそうです。
砂浴を終えて、砂は軽く払う程度で足元だけ海水浴場のシャワーで流しました。
帰りの列車内ではプールで長時間泳いだ後のような、深い疲労感を全身に感じていました。
しかし、それはイヤな疲れではなく、身体の芯が緩んだあとの“脱力に近い疲れ”。
子供の頃にプールで泳いで遊び疲れた後のあの心地よい疲労感の記憶がよみがえってきます。
砂に埋まっていたときのじんわりした重みの感覚がまだ身体に残っているようで、しばらくはその感覚が残っていました。
■ 大地に触れるだけのグラウンディングより、もっと深い何か
【グラウンディング】——裸足で大地に触れる健康法。
あれよりも、砂浴は何段階も深い気がしました。
足だけではなく、身体全体が大地と“つながっている”感覚。
地面に根を張る植物のように、自分の体の中心がどんどん下へ沈んでいくイメージ。
「地球に刺さる」なんて言葉が浮かぶくらい、特別な体験でした。
“ととのった!”というよりは、
「自分が小さな砂粒になって海と大地の一部になった」
そんな、少し哲学的で、不思議な気持ちに包まれました。
海水浴と海砂浴の組み合わせは、サウナとは全く違うタイプの“ととのい”をくれる体験。
自然の力に委ねたくなるような、穏やかで静かなリセットでした。


